ビーガン協会を創設したドナルド・ワトソンはビーガニズムを
"食品や衣服、その他いかなる目的のためであっても、動物に対するあらゆる搾取と残酷行為を、可能で実践できる限り排除する生き方"
と定義しています。これを実践する人を、ビーガンと言います。この定義に「命」や「信仰」や「健康」などのワードは含まれていないことに注意してください。
ビーガンは命を奪うことが絶対悪だ、と主張しているのではありません。ビーガンは、可能な限り他者に苦痛を与えないよう努めるべき、という考えを根幹としています。卵や乳製品の生産にどうして苦痛が伴うのか、という疑問をお持ちの方は以下のリンクを参考にしてください。
乳牛の一生
卵の裏側
また、仮に動物に直接的に与える苦痛がわずかなものであったとしても、他者を自分たちの利益のために利用することには、反対します。
ダイエタリービーガンや、スピリチュアルビーガンと呼ばれる人たちもいますが、これはビーガン=完全菜食主義という本来正確ではない解釈に基づいて名付けられたものです。菜食が健康に良いというのは科学的な事実であり、健康のために菜食主義者になる人も増えています。 しかし、本来ビーガニズムは、ダイエットや信仰とは、直接的に関係のあるものではありません。
ビーガニズムは食事に限ったものではありません。これまでの内容でもうおわかり頂けたかもしれませんが、ビーガニズムは最終的にはすべての動物をヒトの利用の範囲から自由にしようという一種の解放運動であって、食事に限定されるものではありません。 したがって、ビーガンは革製品や羽毛やウールなどの動物を搾取することによって生産される商品や、動物園や動物を使ったサーカスなどの娯楽をはじめ、ありとあらゆる動物の利用に反対します。
少なくとも現時点では、動物の犠牲に一切関与しない生き方は不可能であることは、ビーガン自身も自覚していることです。しかし、他のあらゆる倫理的実践と同様に、少しでもその理想に近づけるために可能な限りの努力を行うことが重要だと考えています。
確かにビーガンの中には動物好きが多いかもしれません。しかし、動物に危害を加えないのは、彼らが好きだからとか、可愛いと感じるからではありません。好きではないという理由で他人を監禁したり、殺害して良いとはならないのと同じことです。
これまでも述べてきたように、ビーガニズムは客観的事実を無視したり、超自然的思想を抱くこととは無関係です。欧米ではむしろ、新無神論と呼ばれる現代の無神論の流れを牽引するリチャード・ドーキンス、サム・ハリス、マイケル・シャーマーらなどが、ヒト中心主義的道徳観は、理性的に正当化不能であるとして、ビーガニズムの道徳的優位性を認めています。
最近ようやく日本のメディアも取り上げるようになってきましたが、環境破壊―気候変動、熱帯雨林消失、大量絶滅、大気汚染 etc―の主要原因は畜産であり、誰もが動物製品の消費量を減らすことは、環境破壊の抑止にとって最も効果的な選択であると言われています。
出典:
『Cowspiracy~環境保護団体があなたに知られたくない事実』
『肉食量を減らすことが気候変動の対処に不可欠.あらたな調査による報告』ガーディアン2014/12/3
『畜産を主要な原因とする大気汚染で毎年300万人以上の死者.対策を講じなければ2050年までに死者倍増か』Science 2015/9/16
飢餓に瀕する子供たちの82%は、欧米で食されるための家畜に飼料を提供する国に住んでいます。また、世界飢餓を解消するために、4000万トンの食糧が必要であると言われているのですが、肉を生産するために、毎年その約20倍の量の穀物が家畜に与えられています。肉食をやめ、それらの食糧を直接人々に提供することで、飢餓に苦しむ多くの人を救う助けにもなります。
出典:
飢餓 - Vegan Encyclopedia
動物商品が健康に及ぼす悪影響は、もはや説明するまでもないでしょう。オックスフォード大学の研究では、世界的なビーガン食の普及で、2050年までに800万人の命が救われると見積もっています。また、その結果抑制されるヘルスケアの支出や生産力の低下に加え、失われる命の経済価値を考慮すれば、年間30兆ドルもの経済損失が防げると結論付けています。
出典:
『菜食がどのように世界を救うのか』TIME 2016/3/21
これらの事柄だけを考慮しても、毎日の私たちの選択が、極めて大きな影響を持つことがわかります。ビーガンになることで、日々の暮らしの中のその他の事柄についても、改めて考え直すよい機会となるでしょう。
ビーガニズムの思想に初めて触れた人の多くが発する質問とその返答をごく簡単にまとめました。
一般的なお店で買えるヴィーガンフレンドリーな食品や、ヴィーガンジャンクフードを紹介されてます。これを見れば、きっとビーガンは意外と自由で簡単そうだと思えるはずです。
長野にあるビーガンショップのページ。パームオイルも不使用な製品だけを取り扱ってらっしゃる。とても素晴らしいお店。オンラインショッピングも可能です。
「ベジタリアン料理という選択肢を、もっと簡単に。」をモットーにするベジプロジェクトジャパンによって運営されている情報サイトです。ビーガニズムの広がりの現状や、生活のチップを知ることができます。